「霜の経露の緯」

涙を拭いて 貴方こそ
逸れないでね 離れないで
これから何処に 行きましょう
暖かい場所 探しましょう

足跡は落ち葉に邪魔され
道標なく途方に暮れる

母の手を切る 指切りの果て
紅葉は落ち 木々は霙に飲まれて
父の背に見る その成れの果て 
辿る 戻る 顧みぬ背中

悲しまないで 貴方こそ
こちらにおいで 離さないで
身を寄せ合って 暖めましょう
二人の居場所 ありました

冷たい水を口に含み
飢えを凌いで生き永らえる

母の手を切る 指切りの果て
細雪は尚も降り積もりゆく 
父の背に見る その成れの果て
いつしか錦は解れ 崩れ行く

母の手を切る 指切りの果て
紅葉は落ち 雪となり消えてゆく
父の背に見る その成れの果て
細雪は尚も降り積もりゆく

涙を拭いて 指を離して
片割れの枯葉を胸に抱いて
悲しまないで 忘れて生きて
尚も貴方を揺さぶり続ける